ソーシャルメディアねたが見つかった

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ソーシャルメディアねたが見つかった

<SNS>競争激化で「心地よさ」にはらむ弊害

毎日新聞 2月13日(土)9時30分配信より

ソーシャルメディア各社の競争が激化しています。

ツイッター社は経営陣一新を発表しました。

何が起きているのか、ジャーナリスト・まつもとあつしさんのリポートです。

 ◇経営陣を刷新したツイッター社

ツイッター社は新たに最高マーケティング責任者も採用し、ツイッターの価値をより幅広いマーケットに伝えるべく、改革姿勢を明確にしました。フェイスブックに比べて鈍化しているユーザー数の伸びを回復できるのか注目されています。

フェイスブックは、海外でテスト中だった「いいね!」ボタンの機能拡張を日本でも行いました。「超いいね!」や「ひどいね」といった6種類の喜怒哀楽の感情をアイコンとして選択できるようになり、タイムライン(投稿を閲覧する画面)上で投稿へのさまざまな反応が生まれています。例えば「誰かが亡くなった」といった投稿に「いいね!」をつけることには違和感がありましたが、より自然な「悲しいね」を選べるようになったわけです。

ですが、筆者は、この機能拡張に対して複雑な気持ちになりました。「より自然な反応が選べるようになったのだから、良いことじゃないか?」と思われるかもしれませんが、実はそう単純な話ではないのです。これによって、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で人々の「分断、囲い込み」が一層進むと考えるからです。

ツイッターとフェイスブック両方を使っていると、表示される情報に違いがあることに気がつくはずです。同じ内容を投稿しても、ツイッターには表示されるものの、フェイスブックの友だちのタイムライン上にはあまり表示されていなかった、ということがあるのです。

 

 

 ◇表示情報が選別されているフェイスブック

これは、フェイスブックがソーシャルグラフ(SNS上の人と人とのつながり)と、投稿を見た人々の反応をもとに、ユーザーごとに表示される情報を選別しているために起こります。

こうした情報と接した人々の反応を「エンゲージメント」と呼んだりもします。フェイスブックでは誰がどの投稿に「いいね!」を押したかといった情報をもとに、「Aさんとよくやり取りをしているBさんにとっても、この情報は有益で、エンゲージメントが高いはずだ」と判断し、タイムラインの上の方に表示させる操作を行っているのです。

フェイスブックは、この選別のアルゴリズムを明らかにしていません。その仕組みも頻繁に変更していると考えられています。「どうすれば情報が広く優先して表示されるか」がわかると、それを悪用するスパム業者などが現われるからです。

 

 ◇「酔っ払い同士のケンカ」も起きるツイッター

一方、ツイッターでは、基本的にフォローしているユーザーが投稿した情報がリアルタイムに表示されます。ただ、一部ではフェイスブックのようなアルゴリズムによる表示も検討しているようです。また、有料広告はその限りではありません。先日、米ネットメディア・バズフィードが「今週中(2月第2週)にツイッターもタイムライン上の表示にアルゴリズムを導入する」と報道しましたが、ツイッター社の最高経営責任者ジャック・ドーシー氏が、これを否定するツイートをするという一幕もありました。

そんなツイッターのタイムライン上では、ユーザー同士が激しい議論を交わすことがあります。時にそれは誹謗(ひぼう)中傷にも発展し、さながら路上で酔っ払い同士がケンカをしている様子を眺めているような気持ちにさせられることもあります。

筆者も、ツイッターで表明した意見に対して、見ず知らずのフォロワーから厳しい批判をもらうことがあります。ツイッターでは自分が目にしたくない情報も表示されます。ツイートに対して簡単にメンション(返信)やRT(転送)という形で反論ができるためです。

「目にしたくないものも目に入る」ツイッターと、他人の反応で自動的に情報が選別されるフェイスブック。後者が目指すのは「心地良い空間」であり、今回の「いいね!」ボタンの機能拡張は、それを促進するものになるはずです。申請と承認を経て友だちになった人同士はケンカしにくいようです。

また、フェイスブックには、ニュースフィードという各ユーザーが関心の高そうなニュース記事を表示する機能があります。ユーザーの興味や人とのつながりをもとにそもそも表示されるニュースが選別されています。そうして表示されるニュースには違和感を覚えることすら少ないかもしれません。

 

 ◇「断絶」を生むユーザーの囲い込み

1月19日には、SNS上でニュース記事を拡散させることに特化したニュースサービス「バズフィード」日本版がスタートしました。今やツイッター、フェイスブックなどは、ニュースを閲覧するための場にもなっています。そうした中、フェイスブックの存在には、大きなリスクも潜んでいると言わざるを得ません。いわゆる「フィルターバブル」を促進するだろうと考えるからです。

フィルターバブルとは、「自らが心地良い」と感じる情報ばかり届けられる状況を言います。その結果、政治に無関心になったり、極端な思想に傾いてしまったりする弊害も心配されます。

また、10秒の短い動画を投稿・共有できる「ミックスチャンネル」というSNSが、10代の若者を中心に人気を博していて、世代間の分断も進んでいます。日々、閲覧するソーシャルメディアの情報と、アルゴリズムのさじ加減一つで、ユーザーは興味や関心をもとに分断され、知らず知らずのうちに大切な情報から隔離されていく可能性があるのです。筆者は、そんなディストピア(ユートピアの反対語)の到来を心配します。

 

 ◇各SNSの特徴を理解して付き合おう

ツイッター上で突然始まる議論は、仕組み上の問題もあって有意義なものにならないことも多いのですが、それでも「異なる価値観に触れる」貴重な機会を提供しているとも言えるでしょう。その特色に、「ツイッターが社会を変えうるメディアになる」という期待を持つ識者も少なくありません。

登場当初は万能のような存在として語られることも多かったソーシャルメディアですが、その現実の姿が明らかになるにつれ、私たちはどのように向き合うべきか悩ましい時期に入っています。

オープンな情報ネットワークを志向しているツイッターでは、メディアの一つとして情報に触れながら、自由な、可能であれば建設的な意見交換を図り、ソーシャルグラフに基づく心地良い、安心できる空間のフェイスブックでは、友だちとの緩やかな交流を楽しむ--各ソーシャルメディアの特徴を理解して、使い分けを意識しながら活用したいものです。

 

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